『ゴッホを訪ねる取材旅行』 スタッフレポート・オランダ編
(7月3日)
さあ作品をじっくり見よう!
今回宿泊のホテルは、NHカールトンというシンゲルの花市場が目の前という絶好のロケーション。しかし、大誤算だったのが、朝食が始まるのが遅かったこと。週末は7時半からということで、朝食を食べられずに出発となりました。途中、高速道路沿いのガソリンスタンドで簡単にパンと飲み物を流し込む。
朝一番で訪れたのは、「ゴッホの森」と呼ばれるデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園内にある、クレラー・ミューラー美術館。
森の中に鎮座するモダンなクレラー・ミューラー美術館。
人気作品「夜のカフェテラス」はここにあります。
「アルルの跳ね橋」(ラングロワ橋)です。
うーん、フランスで見たのとちょっと色が違うような…
ゴッホの作品コレクションやモンドリアン、ピカソ、印象派の画家作品に加えて
美しい彫刻庭園でも有名です。
取材チームは10時の開館前に写真撮影を済ませ、その後ガイドツアー。ここ数日、フランスでゴッホが描いた風景を見てきましたが、その絵にやっと出合うことが出来、感激します。ちょうど、学校の夏休みも始まった地域もあり、一日サイクリングを楽しみにきたオランダ人家族で賑わっていました。国立公園内は、縦横無尽に自転車専用道路が敷かれていて、初心者でも簡単にサイクリングを体験できます。オランダにきたら、やっぱり、自転車に乗らなきゃね、ということで、短いながらもツアー参加の記者さんたちと一緒に、公園内に設置されている無料の白い自転車を借りて5kmほど走りました。お天気も良く、気持ちよかったので、一日のんびりしたいくらいです。
その後、南下しヌエネン(Nuenen)に移動。ヌエネンはゴッホが本格的に画家を目指し、初期の大作「馬鈴薯を食べる人々」を仕上げた町。電気機器メーカー「フィリップス」の城下町、アイントホーフェンの隣にあります。町の周りにはゴッホが描いた自然が、当時の面影のまま多く残っているそうですが、残念ながら時間切れで省略。

「馬鈴薯を食べる人々」
ゴッホは汗して働く農民たちに共感し、感情移入して描きました。
初期の作品は別人の作品かと思うほど色調が沈んでいます。
ゴッホのお父さんが働いていた教会や住んでいた家などは外観から見ることが出来ました。ここには、ゴッホ記録センターというものがあり、ヌエネンでのゴッホの生活などを中心に展示していますが、ちょうど、10日後に新しい立派な建物に移転する予定だそうで、タイミングが悪かった。しかし、その新しい住所が、Vincentrum。ゴッホの名前のVincentと中心(センター)という意味のCentrumを掛け合わせた住所で、ちょっと笑えました。
小さな町ヌエネンは自然豊かな田舎
次に向かったのはゴッホ生誕の地ズンデルト。ここでは、ファン・ゴッホハウスというミュージアムが目的だったのですが、やはり、景色写真をもっと撮りたいという希望で、100年前にゴッホが見たような風景が残る場所で撮影。ファン・ゴッホハウスはあまり時間が取れなかったけれど、ゴッホが生前に売ることが出来たたった一枚の絵を購入したアナ・ボッホ夫人(印象派の画家)の絵などもあり一見の価値ありです。
しかし、ズンデルトで意外な驚きだったのは夕食のレストラン。ファン・ゴッホハウスに隣接するレストラン、Auberge van Goghは、ゴッホの生家跡に建てられたレストランで、今までオランダで食べた食事で一、二を争うおいしさ。正直なところ、こんな田舎でこんなおいしい食事を期待していなかったので感激です。
(7月4日)
最後に一番おいしいモノ、取っておきました。

今回のプレスツアーのハイライトは、アムステルダムのゴッホ美術館。世界最大のゴッホコレクションを誇ります。実はこのプレスツアーは秋から日本で開催される「ゴッホ展」に合わせて企画したもので、作品を出展するゴッホ美術館とクレラーミューラー美術館は通常のプレスツアーとは違った力の入れよう。日曜日の午前中だというのに、館長をはじめ、主任学芸員、ゴッホの書簡集専門の学芸員などがずらりとお出迎え。開館前の撮影後は、学芸員自らが、大混雑の館内をガイドツアーで案内してくれました。
昨年、ゴッホの書簡集の完全版が出版され、その編集を担当したレオ・ヤンセン氏のインタビューがとても興味深かったです。この完全版、実に15年の歳月を要した大プロジェクトなのですが、弟テオの妻ヨハンナが公開しなかった手紙が新たに加えられ、また、ゴッホの手紙に登場する人物、地名や、引用した本、絵など全てを調査し、画家を内面から深く知る事が出来るようになりました。ゴッホの書簡集はそれだけで文学的領域に達しています。その全容は、実は、ゴッホ美術館のウェブサイトに詳しく掲載されています。大判全5巻の出版物はあくまでもそのウェブサイトの抜粋なのだそうです。
作品に関して弟テオに意見を求めたり、とにかく芸術のことで、頭がいっぱいだったゴッホ。
書簡には作品のアイデアとなるスケッチが描かれていることも。
↓ゴッホ美術館所蔵「種をまく人」
一週間にわたるゴッホのプレスツアー。狂気の画家と言われたゴッホが実は、とても、深い洞察力で系統立てて制作していたこと。生前はまったく認められず、不遇の画家といわれていたけど、晩年は、徐々にその才能が認知され始めていたこと。当時の書簡が持つ意味など、新しい発見が多々あった一週間でした。
ゴッホの自殺の理由はまだわかっていません。私の勝手な推測ですが、ゴッホは成功が怖かったのではないでしょうか。彼の人間関係、女性関係などを見ると、わざわざ、うまくいかない道や人を選んでいるような気がします。成功を夢見ながら、実は、成功の先にあるものが怖かったのではないかと、この一週間を振り返って思ったのでした。
アルル、サンレミ、オーヴェルシュルオワーズ、パリ、アムステルダム、オッテルロー、ヌエネン、ズンデルトとゴッホ縁の地を6泊という駆け足で巡りました。ゴッホが住んでいた小さな田舎町にはゴッホの絵はなく、「ゴッホで町おこし」的な雰囲気もありましたが、画家が描いた風景や当時の様子などを知った上で、美術館に足を運ぶと、こんなにも違った印象を持つとは思っていませんでした。正直なところ、今まで印象派といえば表面的な美しさだけで、音楽でいうならイージーリスニング音楽のような、何の物語性もないと思っていました。フェルメールやレンブラントに比べると、どこか一段軽く見ていた面があるのですが、今回の旅で、その「印象」ががらりと変わったのでした。
「ゴッホよ、ありがとう!」
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コメント
こちらに 質問してよいのか わかりませんが、
「夜のカフェテラス」を見るために オランダの美術館へ2010年 年末もしくは 2011年 年明け 旅行へいこうと思っているのですが、 日本のゴッホ展へ持ち出されて オランダの クレラーミュラー美術館 では見れないでしょうか?
投稿: miyuki | 2010年12月10日 (金) 07時52分
「夜のカフェテラス」は日本での展覧会で出品されておりません。
まれに修復をしていたり、他国での展覧会が入ったり、企画展の前後で移動中の場合があります。
確実なところは美術館へ直接お尋ねください。
http://www.kmm.nl/jp/more-information.html
なおこちらでは質問はお受けしておりません。ウェブサイトのお問い合わせのところからお願いします。
投稿: オランダ政府観光局 | 2010年12月10日 (金) 10時23分